「トラリピは儲からない」、「ループイフダンは儲からない」と言われることもありますが、一方で安定的に稼いでいる方々もいます。
私も実際始めるにあたり、「年利10%なんておいしい投資話があれば、皆やってるし、そんなにうまくは儲からない」と思っていました。
相場に恵まれたというのもあるのでしょうが、ループイフダンは4年間で+133万円(評価損▲14万円)、トラリピは3年間で+81万(評価損 数千円)、その間、安定した収益を稼ぎ出してくれています。
一方で、「トラリピは儲からない」と、撤退される方も多いので、儲からないと言われる所以について確認してみたところ、下記のような理由が多かったです。
- トラリピに不向きな通貨でトラリピ
- レバレッジのかけすぎでコツコツドカン
- 意外と為替が変動しない
- 常に含み損
- 自由に途中で止められない
- レンジを下抜けると地獄が待っている
- マイナススワップが大きくて耐えられない
今回は、トラリピを初めとする自動発注FXの儲からない理由と、それを回避する方法を研究してみました。
1. トラリピに不向きな通貨でトラリピ
自動売買FXは、為替レートの変動に細かいトラップをかけて、小さな変動を利益に変える取引です。
大前提として、レンジ相場の通貨を選ぶ必要があります。
トルコリラやメキシコペソなど、高金利通貨の買いポジションは高いスワップポイントが貰えますが、基本的に高金利通貨の価値が下がり、円高が進行するので、レンジから外れ、含み損を抱えて、身動きが取れなくなります。
例えば、下記がトルコリラの為替レートですが、このような右肩下がりの通貨を選んでしまったら、いくら決済利益を積み重ねても、評価損の方が上回ってしまいます。
それでも、スワップポイントが貰えるからと、ホールドすると、スワップ投資の負けパターンと同じく、スワップポイントの二倍の為替差損が発生し、我慢できずにロスカットというのが一般的です。
2. レバレッジのかけすぎでコツコツドカン
トラリピなどで一番大切なのは、資金管理です。
資金管理せずに、とりあえずトラリピを設定すると、初めはコツコツ・チャリンチャリンとお金を運んでくれますが、為替レートが一旦大きく動くと、ロスカットされ、大損をすることになります。
これを回避するには、最初にどれくらいの為替レートまでのリスクを想定するのか、最悪のケースをシミュレーションして、口座に入金する資金や、リスクが高くなったらいくらまで追加入金するか、などを検討します。
最初はどのぐらい含み損が発生するのかなどの感覚をつかもために、1円や50銭など、広めのトラップ値幅で、注文金額は最低発注単位の0.1万を選ぶと良いでしょう。
私は、トラリピを設定する時に、レバレッジ1倍だったら、最大いくらのポジションを持つことになるか、シミュレーションします。
例えば、カナダドルを70円〜90円で100仕掛ける場合、平均80円×100トラップ×1000=800万円のポジションを持つことになります。
実際に、800万円の資金を準備する必要はありませんが、こんなに大きなポジションを持つ怖さは認識しておきましょう。
3. 意外と為替が変動しない
コロナ危機などで、為替レートが急激に円高が進むこともあれば、一ヶ月全然動かない月もあります。
もともとトラリピに手を出す方は、チャリンチャリンを期待しているので、為替レートが変動せずに、決済がしばらく発生しない時期が続くと、「じゃ、トラップ値幅を狭くしよう」とか、「他の通貨を追加しよう」とか、設定をいじりたくなります。
夜、スマホを見てて衝動的にトラップを追加するというのは、かなりの悪手です。
設定を追加したくなっても、一旦冷静になって、きちんと資金シミュレーション行った後に追加しましょう。
4. 常に含み損
トラリピはレンジ幅にいくつもの買いポジションを罠をしかけるように細かく置いて、1円安に動いたら、決済していくというような仕組みです。
100円で買ったドルが101円になったら、ドルを売却して、1,000円の利益を得ます。(発注単位が0.1万の場合)そして、101円で再度ドルを0.1万ドル購入します。
逆に1円円高に動いたら、新たなポジションを持ちます。100円で買ったドルが99円になったら、99円で再度ドルを0.1万ドル購入するのです。
円安に動いたら、決済されるものの、そのレートで新たなポジションを持つため、永遠に円安傾向が続かない限り、普通は含み損を持つことになります。
この仕組みをきちんと理解し、「含み損は将来のチャリンチャリンの種」というぐらいに考えられないと、トラリピは運用できません。
もし、含み損の額が精神的に負担になるようであれば、それは自分が取れる以上のリスクを抱えていることとなります。
5. 自由に途中で止められない
想定レンジの上限に達するまでは、常にポジションを持ち続けるため、途中で止める場合は、損切りすることになります。
そのため、急に資金が必要になったり、他の運用に切り替えたくなっても、損切をせずに終了しようとするのは、かなり難しいです。
6. レンジを下抜けすると地獄
円高トレンドで、レンジを底抜けすると、地獄が待っています。
レンジを底抜けするということは、ポジション数が最大になっているので、そこから為替レートが円高が進むと、その最大ポジション全部の含み損が増えるのです。
また、レンジを底抜けすると、トラリピが全然作動しないので、細かく利益を積み上げることもできません。
スワップがプラスの通貨であれば、スワップの益を貰いつつ、円安に戻るのを待つ手もありますが…
7. マイナススワップが大きくて耐えられない
米ドル、カナダドル、豪ドルの売りポジションを持つと、マイナススワップが発生します。
円安レートで買いポジションを持つと、円高が進んだ時に含み損が大きくなるのを嫌って、円安レートの範囲では売りポジションを設定するやり方もあります。
ハーフ&ハーフといって、基準レートより円安なら売りポジション、円高なら買いポジションのトラップを仕掛ける方法があり、慣れている方はこの設定方法を導入している方も多いです。
マイナススワップの方が、決済益に比べれば、少ないし、資金効率がいいので、この方法が人気ですが、私は売りポジションは最大損失が読めないこと、また相場が膠着して、決済益が出ずに、マイナススワップだけが溜まる相場になるのが怖いので、基本的にはマイナススワップには手を出していません。
8. 最後に
「トラリピは儲からない」という理由を挙げて、今までの経験から、それに対する対策をあげてみました。
ここまで読まれてもうお気づきかもしれませんが、これら「トラリピが儲からない」を回避するためには、「最悪のケースも想定した資金管理」が必要となります。
そのため、「年利20%トラリピで儲かった」というようなことは難しく、慎重に設定すると、年利が5〜10%となります。
それでも、レバレッジをかけている以上、ロスカットされる可能性はゼロではなく、「ロスカット・追証のリスクを孕んで利回りが年 5〜10%じゃ、割があわない」となり、「トラリピは儲からない」に戻るのです。
私は、「5〜10%でも良いから、運用利回りをあげたい」ということと、米国株だけでなく、色々なポートフォリオを持っておきたいことから、トラリピとループイフダンを行っています。
結局は、これらの状況を理解しながら、個人の取れるリスクと資産配分の中で、マネースクエアのトラリピとアイネット証券ループイフダンというツールをどう使うか、使わないかということだと思います。
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