FXレバレッジ上限が10倍に下がる?|レバレッジ2倍の私にも影響が…

現在、最大25倍まで認められているFXのレバレッジを10倍程度に下げる検討が金融庁でなされているそうです。

私のスワップポイント狙いのFXはレバレッジ2~3倍くらいの低リスク運用にしているから、最大レバレッジが25倍→10倍に引き下げられても影響はないのかなと最初は思っていましたが、考えてみたら証拠金で拘束される金額が増えるのでデメリットが発生することが分かってきました。

1. レバレッジ最大10倍までに規制?

以前はレバレッジ規制がなかったので、ハイリスクで投機的なFX取引をして破産する人が出ていました。私もFXや信用取引など、レバレッジが効く取引は素人は絶対に手を出してはいけない危険な取引と感じて敬遠していました。

2011年からはレバレッジ規制を25倍に設けたことは、一攫千金の夢は遠くなりましたが、健全に資産運用の一環としてFXを考えられるようになり、素人が参入しやすくなったと思います。

でも10倍に下げる必要はある?

というのが正直な感想です。

FX証拠金倍率を引き下げ 10倍程度に、金融庁検討
日本経済新聞 2017/9/28

個人投資家は現在、手元資金の25倍までの範囲で取引できる。

手元に4万円の証拠金があれば、100万円まで取引できる計算だ。

レバレッジを10倍にすると、必要な証拠金は10万円になる。

金融庁は過去の為替相場から、変動率がどんなに大きくなっても元本がなくならないようにする方針で、現在は「10倍程度」が妥当とみている。

2. 気になる背景

スイスショック・チャイナショック・ブレグジットの直後なら、このような改正も理解できるのですが、なぜ今?という感じがします。

日経新聞には、「外国為替相場が急変動した際、個人投資家や金融機関が想定を超える損失を抱えるリスクが高まっていると判断した。」と記載されていました。

これは北朝鮮情勢により、何かが発生して、急激な円高が襲って来るのを想定しているのでしょうか… だとすると、確かにちょっと怖いですね。。。

この「不測の損害」から投資家を守るために強制ロスカットのしくみがあるのですが、市場の急変時には流動性が極端に低下してロスカットが発動しなかったり、不利なレートで決済されたりすることにより、手元資金をゼロにしても不足する損失が発生することがあり、そのような際には借金になってしまうようです。

それを防ぐために、高レバレッジ取引を規制する趣旨なのでしょうが…

3. レバレッジ2倍で運用している私にも影響

必要証拠金が膨れることによってロスカットラインが引き上げられることが問題となります。

私の現在のトルコリラ運用は下記のようになっています。

  • 運用資金:150万円
  • 買いポジション:10万トルコリラ
  • 1トルコリラ=約32円
  • レバレッジ=約2.1倍

この私の例で、レバレッジ上限が10倍に引き下げられた場合の影響を見ていきます。簡易化するために、証拠金維持率100%でロスカットされると想定しました。

資金150万円は、10万トルコリラを購入するための証拠金として使われます。レバレッジ25倍でいい場合には、購入するトルコリラが320万円なので320万円÷25=128,000円で済みます。

一方、レバレッジが10倍に減ると、320万円÷10=320,000円となり、証拠金として拘束される金額が192,000円も増えてしまいます。

証拠金が増えると含み損として考慮できる余力が同額の192,000円減ることになります。そのため、ロスカットレートが1.9円上がることになり、もともと1トルコリラ=18.3までの下落(▲13.7円の下落)に耐えられたはずなのに、レバレッジが10倍になると、1トルコリラ=20.2円までしか耐えられなくなります。

今回の試算は、証拠金は32円をベースに計算していますが、含み損が発生すると証拠金ももう少し減るでしょう。しかしながら、証拠金は各業者が自由に設定するため、必ずしも為替レートとリニアには反映されないため、一律32円で計算しています。

3. 自分で資金管理したい人にはありがた迷惑

このように、レバレッジ規制を10倍に下げることによる、私のトルコリラへの影響を考えると、

  • メリット:ロスカットされた時に手元に残る金額が増える(上記例の場合、192,000円増える)
  • デメリット:証拠金に拘束される資金が増えるため、ロスカットレートが1.9円上がる

もともと、低いレバレッジで運用しているので、ロスカットレートが1.9円上がってもさほど影響がないように感じますが、レバレッジを9倍くらいかけている人がいきなりレバレッジ10倍の規制にさらされると、アッという間にロスカットということになるので、影響は甚大です。

FXで破産者が出るのは望みませんが、自分で資金管理を行ってロスカットされてほとんど手元に残らなくても自己責任なので仕方ないと割り切っている人にとっては、かなり迷惑な改正だと思います。

FX人気に水を差さないために、できれば辞めて欲しい検討です…

コメント

  1. TomBee より:

    おっ わかってる人だ
    無駄に資金が拘束されるだけなので 取引量に関係なく全員にデメリットしかありません
    現状でも 一発で半分も飛ばすほうが難しいですよ
    すでに過剰に規制されているんですよね
    資金を複数業者に分けるのが難しくなり システムダウンに対応しづらくなるリスクの方がよほど身近で困る

    レバレッジに対する誤解はホントなくなりませんね(金融庁くらいは理解しろよ)
    取引におけるリスクとは 純粋にポジション量によって決まる
    「チップ10枚はチップ1枚 と比べて リターンもリスクも10倍」
    ただコレだけなのに・・・
    レバレッジが高いこととトレードのリスクは まったく関係がない

    金融庁のやり方は 何もしなければ安全でしょっていう
    まさに息だけしてろみたいな感じです

    • ばたばた より:

      TomBeeさん
      コメントありがとうございます!
      無駄に資金が拘束されるだけなので、本当に辞めて欲しいですよね…
      北朝鮮情勢で未曾有の為替の動きで、ロスカットが間に合わなくて証拠金を割って借金になる投資家やその未収入金を回収できない業者が倒産するような危機が迫っているのか?と勘ぐりたくなるくらい、通常では意義を感じない改悪内容です。

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